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17.09.29

Shirakawa Go Around編集部

村のしごと

求人募集中!

国境なきおもてなしを

白川村の見どころは合掌集落だけではない。

庄川と飛騨の雄大な山々に囲まれ、四季の移り変わりを直に感じることのできる、隠れたレジャースポットがあるのをご存じだろうか。

 

村瀬章吉さんは、そんな自然豊かな南部地域にある「白弓スキー場」、「さくら街道白川郷ひらせ温泉キャンプサイト」、「森の食彩館 白真弓」を30年近く管理してきた。

しかし、その役目ももうすぐ次世代に引き継ごうとしている。

3つの施設の管理人、村瀬章吉さん

 

話を聞いていく中で、施設に対する愛着と、来たるべき人材への期待や、強い思いが伝わってきた。

自然豊かな土地、南部地域。写真中央を流れているのが庄川である

 

スキー場・キャンプ場・レストラン白真弓の歴史

3つの施設の中ではスキー場が一番歴史が古く、岐阜県下で4、5番目に出来たそうだ。夏にはゲレンデを広大な放牧場として利用しており、その期間牛を放している。

放牧場として開放された、夏のゲレンデの様子

 

キャンプ場は出来てから10年以上経つ。キャンプ初心者向けの場所なので危なく無く、利用は主に家族連れが多い。取材時、利用客はいなかったものの、小さい子供連れの家族が遊びに来ていていたり、手入れのために草刈りをしている様子が見えたりと、ほのぼのとした風景がそこにはあった。

キャンプ場内の様子

 

レストラン白真弓は主にバスで来る団体客専用で営業しているため、完全予約制。料理は値段に合わせて5種類のコースがあり、郷土料理である朴葉味噌を使った飛騨牛ステーキや、岩魚や虹鱒といった川魚も食べることができる。アレルギーにも対応。インバウンドの方には宗教上食の規制があるので、牛や豚などに変えることもできる。これらは外国人の方から特に好評とのこと。

取材時、台湾から訪れた団体観光客が食事をしていた

 

村瀬さんは南部地域にある平瀬集落出身。平瀬に帰ってくる以前は名古屋で紳士服の洋服屋に勤めていた。

本当は両親を連れて名古屋に行って住むつもりだったが、家庭の事情で平瀬へ帰ることになったという。

しかしいざ帰ってくると、都会と田舎では仕事の仕方が全然違うと感じたそうだ。

「名古屋にいた頃は秒単位で働いて、仕事に追われ、自分が何をしているのかが分からなくなる時があった。でも、平瀬に帰って今の仕事に就いてからはお客さんの反応が目に見えるようになり、人の喜びを直に感じることができるようになった」

そうして、平瀬に残ることを決めたという。

 

なぜここに残ったか

「会社のように「これをやりなさい」というものがないから、その時々に応じていろんなことができる」

なんと村瀬さんは施設の管理の他にも、若い頃は冬場はスキーのインストラクターまでしていたそう。基本的な仕事は電話やFAXで対応しているから、いってしまえば家にいても仕事ができるし、村瀬さんのようにスキーのインストラクターだってできる。本当に自由な仕事ぶりである。

「辞めることはいつでもできた。でも、やっぱりここの仕事の方が魅力的だった」

そう村瀬さんは話す。

その魅力というのが、お客さんとのコミュニケーションだった。

 

現在の仕事のやりがいは

世界遺産に登録された影響か、最近は外国人観光客が世界中からレストラン白真弓に訪れるようになった。

観光客の中には一緒に写真を撮ろうと誘ってくれる人もいるそうで、そういったときは嬉しくなるし、「料理、グッド」なんてカタコトの日本語でも言ってくれると思わず「ありがとうございます」と返してしまうそうだ。

「言語が全く違ってコミュニケーションが取りにくいはずなのに、外国人の方から一生懸命ジェスチャーを取ってくれる。ごく普通の当たり前の会話でも、それがすごく嬉しい」

 

村瀬さんは笑顔を浮かべながら話してくれた。

更に見せてくれたのは、スキー教室のお礼の手紙だった。

毎年白弓スキー場にて、白川郷学園の1年生が行う授業の一環で行われた際に書いてもらってものだ。昼食はレストラン白真弓で食べるそうで、子どもたちの手紙の中で、「楽しかった」「カレーがおいしかった」など、些細なことでも書いてくれていると、読むたびに嬉しくなると話す。村瀬さんの周りには、国境や世代を越えたやりとりがあった。

 

今回の求人はこの3つの施設の管理ということだが

予約の調整や仕事の段取りを整えたり、バスから降りてきたお客さんを店内へ迎え入れることが村瀬さんの主な仕事。また、従業員のほとんどは地元の人にパートとして手伝ってもらっており、その人に適した役割を振るのも村瀬さんの役目だ。

将来的に、村瀬さんのように総合的にマネージメントしてくれる人を探している。

求人は県外からも可能。むしろ、県外の方がこの取材の記事を見て訪れてくれたら嬉しいと話してくれた。

「今の季節だと何もないスキー場の景色が、冬になれば真っ白になって、秋になればそこらじゅうが紅葉して。ここで働いていると、そういう四季の移り変わりを直に味わえる」

村瀬さんは何十年もこの環境の中にいるため、今となってはそれも当たり前だと感じてしまっているという。しかし、外から来た人は、この環境を新鮮に思ってくれるのではないだろうかと話す。

 

施設への思い入れ

今年の11月で村瀬さんは管理から身を引く。元々は去年末あたりから身を引きたいと周りに申し出ていたのだが、踏ん切りがつかずにいたという。しかしもう体力の限界。若い人に引き継いだ方がいいと思った先での決断だった。

「やはり後継者がいないことが、引退を考える上での何よりも不安。いろんな仕事をしていても、もし自分がぱっといなくなったらどうなってしまうのだろうと考えることはあった」

そう村瀬さんは話す。

「自分が辞めたら潰してもいいってわけじゃない。何とかしてほしい。この施設に思い入れが深い分、今まで引退を決断できなかったところもある」

レストラン白真弓は、実は村瀬さんも設計段階に立ち会ってできたもの。それゆえ誰よりも愛着があった。

しかし身を引くとはいえ、入ってきた新しい人にはしばらくサポートをしていくそうだ。常に一緒にいるわけではないが、専門的な作業を中心に手伝っていく。「困ったときにはいつでも呼んでほしい。責任もって分かるまでサポートしていく」と話した。

 

これらの施設は今後どうなっていってほしいか

「世界遺産を見に来た観光客をいかにレストラン白真弓に引き込むか。宣伝の仕方次第で、インバウンドの方に対して色んな展開ができる。キャンプ場やスキー場だってそう」

そう村瀬さんは話す。

「自分がSNSなどでの発信の能力がないものだから、こういった情報の発信ができる人がここに来れば、これらの施設はもっともっと伸びると思う。伸びしろはある」

 

そう、ここは伸びしろがある施設なのだ。

近年増加傾向にある外国人観光客。レストラン白真弓の施設内には、入口付近に大きな凧が飾られていたり、浴衣の着付け体験コーナーがあったりと、そこには外国人が魅力に思うものがあふれていた。もっとこの魅力を知ることのできるツールが増えれば、それに伴ってここを訪れる人も増えるだろうと感じた。

大きな凧。実際に飛ばしていたが、現在はこうして飾られ、来るお客さんを出迎えている

誰に対しても分け隔てない笑顔と、国境を越えたコミュニケーション。

村瀬さんなりのおもてなしが、そこにはあった。

 

 

環境ネット株式会社

【問い合わせ】TEL 0577-36-1655 FAX 0577-62-8878

【所在地】岐阜県高山市新宮町4305番地

※将来的に村瀬さんの後継者として働いて頂ける方を募集しています。気になる方はご連絡下さい。

 

この記事を書いた人

内田なつの

岡山県出身 21歳。鳥取大学地域学部地域政策学科3年。

農山村の移住者がどんな仕事をしているのかが知りたくて、白川村にインターンで2週間滞在。

なっつにお酒を与える時は用法・容量をきちんと守ってください。笑

※本記事は9月3日~8日に白川村で開催された白川郷ヒト大学の「ローカルワーク編集合宿」で製作されました。

 

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