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17.09.12

Shirakawa Go Around編集部

村のしごと

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ご縁を紡ぐ尊い仕事、山本屋。

岐阜県の北西部にあたる、大野郡白川郡荻町。年間170万人の観光客が訪れる観光地「白川郷」の中心に「山本屋」はある。冬の厳しい寒さに耐え抜く合掌造りの家屋で、春から秋にかけては蕎麦屋、冬は民宿を営む、7代目山本屋当主の山本桂諒(やまもとよしあき)さんにお話を伺いました。

山本屋7代目当主の山本桂諒さん

 

 

山本屋はいつから営業されているのですか?

もともと僕が生まれた時から民宿はやっていましたね。合掌造りには250年くらい前から住み始めて、僕で7代目。

僕自身は、その当時は特に志もなかったから、高校を出た後はふらふらしていたね。人に合わせられない性分というか、社会不適合者だという烙印を押されたんだなって思ったなあ。

24歳の時に家族と話し合いを重ねて白川郷に帰って来て、最初は土木の仕事をしていて、お店を開いたのは10年前かな。

 

帰郷したばかりのころは田舎がコンプレックスだったと語る山本さん。お店を続けていくなかで、ご自身のこだわりと相まって「山本屋」だからこそ提供できるサービスが生まれていきます。

 

250年続く合掌造りの家屋で、春から秋までは蕎麦屋を営む

 

山本屋は、どういった蕎麦へのこだわりがありますか?

山本屋で出しているのは蒸している蕎麦なの。蕎麦ってね、昔は蒸していたんだよ。それがファストフード化されていく中で茹でるようになった。あんな寸胴でドカドカ煮ていたら、そりゃ栄養価抜けて蕎麦湯で補わなきゃって話になるじゃんね。麺と蕎麦湯、どっちがメインなのみたいな不思議な感じになっちゃう。ちゃんと麺で美味しい状態のものを提供したかったから蒸して出している。 

山本屋自慢の梅干しトッピングの蕎麦:1000円

 

トッピングの梅干しも、高山にあるこだわりの農園の、着色料を使わない無添加の梅干しを使っている。無視していたらどれだけでもケミカルなものは口に入ってくるからね。ちょっと僕は背伸びして、遠ざけて提供しているかな。

 

白川郷を訪れる観光客の多くは、田舎に癒しを求めにきた都会の人たち。山本さんの食へのこだわりは、そんなお客さんの背景にも寄り沿っている。

 

山本さんはどんな人と一緒に働きたいですか?

こんな偏屈な僕でよろしければ誰でもって感じだけどね。真面目に話すと、健全健康な人であれば年齢その他問わず誰でもウェルカム。笑顔に自信があれば最高ですよ。基本的に調理は僕がやっているので、接客をやってもらう感じかなあ。接客に関してはその人の色を出してくれたらいいから、条件があるとしたら健康であってほしい。不安なこととかいっぱいあると思うけど、健康であれば全部うまくいく。

畳が気持ち良い、落ち着きある店内

 

本当は民宿の方も手伝ってほしいけど、宿って結構忙しいのを知っているから・・。まずは夏の期間に働いてみて、よかったら冬もどうですか?って感じかな。大変だよ宿の仕事は。ほぼ予約客で、拘束時間は長い。だからストイックに体調管理をしなきゃいけないし、僕が風邪を引こうがお客様が期待をしてお金を出してくださる以上は、昨日できたサービスを落としちゃいけない。だって不誠実な仕事を僕はしたくないからね。

 

幸い春から秋はこうやって蕎麦屋をして、冬は民宿してっていうサイクルができているから、ありがたいことに物事を一区切りできる機会があるんですよね。だから毎年、去年よりこういうことをしようってチャレンジしている。僕はまだ36歳で、ここでストップしちゃったら困るし、おごった商売になってしまう。ちゃんと変わり続けようとは思っています。でも儲け過ぎる必要はないから、もしも儲け過ぎたら還元なりシェア出来たらいいな。だから僕がもし私腹を肥やしてたら言ってほしい。

 

お客さんや従業員に限らず、同じ人として対等な立場で向き合いたい山本さんの真摯な姿勢。歴史を背負い着実に積み重ねる先には、何を目指しているのだろうか。

 

飄々としながらも、真剣な眼差しで語る山本さん

 

山本屋が目指しているものはなんですか?

山本屋としては、どこかに移住して同じサービスを提供しても、成立させられるものじゃないといけないって気持ちがある。「白川郷の名前で商売しているの?」とか「白川郷だから成立しているんでしょ」とか親の代から言われ続けているし、言われたら悔しいよね。まだね、白川郷だとか合掌造りっていうネームバリューには勝てないんですけど・・。だから50歳になったら民宿一本でやりたいな。「山本屋」のステージっていうのはひっくり返したい。「山本屋」があるから白川郷に行きたいなって、「山本屋」が目的になる。そうしたいから今はインプットの時間に重きを置いていて、なるべく自分の振り幅を広げたい時期だね。自分の拡張と収縮のリズムがあるんだよね。50歳になったらもう自分の中の偏見とこだわりで、自分が知ってきた振り幅の中で勝負するぞってことをしたい。

すでに熟成されつつある店内の雰囲気

 

宿って色んな人の人生が交差するところだと思うんだよね。ありふれた話かもしれないけど、泊まった人同士で結婚したりとか、前に宿泊した方が友達を連れてきてくれたりとか、鉢合わせたら知り合い同士だったりして。なんか奇妙な運命を感じるんだよね。山本屋を介してそういうことが起こるのがありがたいなって。山本屋っていう歴史を肯定された瞬間だと思うんだよ。この建物に価値があるってよく言われるけど、僕はそこにあまり価値を感じていない。ご先祖様が命を繋いできてくれたことにこそ価値を感じてる。僕もありがたいことに命を授かって、次に繋ぎたいという気持ちがあるのは当たり前で、振り返ると7代も遡られる。自分の仕事しかり、言葉しかり、繋いでいってあげたいなと思う。

 

命を紡いできたご先祖への感謝を語る山本さん。ピカピカに磨かれたお仏壇を中心とした店内からも、その在り方が垣間見えます。

 

とびっきり気持ちが良い仕事を僕がして、それを子どもたちが見てればそのうちなるようになるでしょう。侍のように在りたいね。親父の背中は小さいけど背中には傷一つねえぞ、正面に傷はたくさんあるけど、全然逃げたことねえよみたいなね。

とはいえ僕自身も社会から逃げて逃げて、今こうして自分で商売やっているからさ。逃げることは悪くないんだよ。ここって決めた自分のステージで、頑張ることが大切なんだろうね。それが僕にとっては山本屋だったのかな。本当にいろいろなご縁と繋がりで辿り着いて、生かされているよね。感謝しかないよ。

山本屋の未来を語る笑顔は眩しい

 

終始ユーモアを交えながらも、時折真摯な人柄が垣間見える山本さん。「白川郷」ではなく「山本屋」が目的となるようなお店にしたい。それはきっと当主の山本さんご自身の魅力が訪れる人を魅了し、新たなご縁を紡ぐのであろう。そんな山本さんに導かれた方はぜひ下記からご連絡を。

 

山本屋

【問い合わせ先】TEL:05769-6-1064

【営業時間】11時~15時(売り切れ次第閉店)

【定休日】不定休 (12月~4月中旬まで民宿運営)

【所在地】岐阜県大野郡白川村荻町775

※夏季を中心に飲食業に携わりたい方を募集。条件など要相談。村外の方でも大歓迎。まずはお気軽にご連絡を。

 

 

この記事を書いた人

丸山純平

高山市出身の24歳。岐阜大学地域科学部4年生3回目。地元でまちづくりを仕事にしたくて人生寄り道中。将来の夢は地元の市長。カラオケ大好きなゆるふわ男子です。

 

※本記事は9月3日~8日に白川村で開催された白川郷ヒト大学の「ローカルワーク編集合宿」で製作されました。

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